【小麦粉の歴史】人類初の作物って本当?日本に伝わったルーツも紹介
2020年7月12日
小麦粉の歴史は人類初の作物?日本に伝わったルート
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小麦粉の歴史は古く、約1万年前には食されていたことが、現代のテクノロジーを駆使した調査でわかってきました。大麦とともに、人類最古の作物で、もともとは野生種として生息していた小麦を雑草のなかから見つけて食したのが始まりのようです。
古代から重要な作物として人々に食されてきた小麦ですが、製粉として利用されるようになったのは、ごく最近のことのようです。それではこれから、小麦が製粉になるまでのルーツから、日本に伝わり多くの人々に食されるようになった歴史を紐解いていきましょう。
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【小麦粉の歴史】古代エジプトの壁画にも描かれている
小麦は、もともと野生の植物でした。当時は大麦や雑穀を混ぜて、石で砕いたものを焼いて食べていたといわれています。
紀元前3,000年頃、古代エジプトでは、無発酵のパンがすでに食べられていたそうですが、現在のパンとは違い、水を加えてから発酵の時間をとらずにすぐに焼いたため、まったくふっくらしていないものだったようです。
紀元前2,000年頃になると石臼が誕生し、より細やかな粉を作れるようになりました。この頃誕生したのが現在の発酵パンとなり、こねた生地をしばらく放置しておくと、空気中にある天然酵母が入り大きく膨らんだといわれています。
このように小麦はおもに中央アジアに生息しており、西洋を中心に広がっていきました。
【小麦粉の歴史】製粉の技法の移り変わり
小麦粉の製粉の技法が発達したのは紀元前600年頃で、ロータリーカーンと呼ばれる回転式の石臼の誕生がきっかけとなりました。現在のそば粉を引く石臼によく似たもので、2段に積み重なった石を回転させながら小麦を引いていました。この技術は世界中に広がり、石臼に限らず水車や風車を用いて小麦を引くまでに発達していきます。
イギリスで18世紀に産業革命が起こると、製粉技術が飛躍的に変化をとげ、大型の製粉工場が誕生し、世界へ流通しました。
19世紀には、ロール機を使った製粉工場も誕生します。この製粉機が、現在使われている製粉機の元祖となります。そしてこの製粉機のおかげで、より品質の高い小麦粉が作られるようになりました。
【日本の小麦粉の歴史】弥生時代に中国から伝わる
中央アジアや西洋の国々では、紀元前3000年頃から食されていた歴史の古い小麦ですが、日本に伝わったのは紀元前1世紀~4世紀の弥生時代とされています。稲作とともに中国から伝わったことが「日本書紀」に記されています。
ところが日本に伝わった小麦は、じつは耕作には適していませんでした。小麦は乾燥地を好む作物で、湿気の多い日本では耕作が思うように進まず、また収穫時期が梅雨ということもあり、好んで耕作する人は少なかったようです。
小麦の栽培は、米に比べると収穫量は少なかったですが、8世紀ごろになると活発になります。麺類や饅頭の材料として重宝され、この頃から庶民の間に粉食文化が広まったといわれています。
【日本の小麦粉の歴史】本格的な栽培が始まったのは江戸時代
小麦の栽培が本格的に行われたのは、しばらく経った江戸時代。今までの麺類や饅頭に加え、ポルトガルから伝わったカステラなどに使われるようになります。
明治時代になると、西洋の文化が入りパンの普及も広がりを見せますが、国産の小麦粉は紛粒が荒くパン作りには適していなかったようです。そのため、パン食の文化はまだ定着しませんでした。
現在のようなパン食が広まったのは、第二次世界大戦後になります。当時日本は食糧不足に悩んでおり、GHQに食糧援助を求めます。ここで援助を受けたのが小麦でした。この援助のおかげで、日本にも小麦粉の文化が定着し、国産の小麦を本格的に栽培するまでに発展しました。
小麦粉は昔も今も国民食に欠かせない食材
今や世界中で主食の食材として欠かせない小麦粉ですが、古代より愛され、先人の知恵と技術の発展のおかげで、今私たちは品質のよいものを食べられるようになりました。
人類最古といわれる作物を、現在も同じ形で食べているのは不思議な感覚ですよね。