小麦粉の種類は全部で7種類!違いがわかれば料理の幅が広がる

 

7種類の小麦粉の違いと特徴 どんな料理に向いているの?

 

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小麦粉といえば、あなたはその種類をいくつ挙げられますか? 薄力粉、中力粉、強力粉・・・ほかに何があったっけ? パスタに詳しければセモリナ粉・・・市販のビスケットを見ていると、最近全粒粉やグラハム粉などの表記をよく見かけるようになりましたね。一口に小麦粉といっても、大きく7種類に分けられているのをご存じですか? それぞれの小麦粉の特徴がわかれば、メニューに最適な小麦粉選びができて、その特徴を生かした美味しいお料理やパン、お菓子が作れるようになります。

 

小麦粉は約70%の炭水化物(でんぷん)と6~15%程度のたんぱく質で構成されています。しかし、必須アミノ酸のひとつリジンが不足しているため、肉類や卵、乳製品と一緒に食べることでバランスよく栄養を摂ることができます。

 

これから、7種類の小麦粉について、その性質や特徴をわかりやすく説明してゆきます。どんな料理に合うかも少しご紹介しようと思いますのでご飯やおやつを作るときの参考にしてくださいね。 ひみつのひとさじ 店長 mariko

 

 

小麦粉の種類① 強力粉

 

ここ最近の日本では、パンを主食に食べる人が増えています。そのため北海道では、複数の品種の小麦を配合して、たんぱく質量が多い小麦を開発し、その生産量を増やしています。

こうした試みから、国内産の強力粉の生産量は増えつつありますが、それでもなお9割を輸入小麦に頼っています。 主な輸入元はアメリカやカナダ、オーストラリアで、殻粒が硬く、粒の断面が半透明になことから、「ガラス質小麦」という別名も持っていますが、いわゆる硬質小麦(パンコムギ)と言われる小麦です。

 

小麦粉の種類の中でもっともたんぱく質の割合が多い粉で、その含有量が全体の12%以上の小麦粉を強力粉と呼びます。

 

たんぱく質が多いと、水で練ると粘り気が出て、力強い弾力が生まれます。 焼くと中はモチッと外はカリッと仕上がるため、パンやピザに向いています。また、こねることでこしが出るため中華麺、餃子の皮、パスタなどにも向いています。ただ、スポンジケーキやシフォンケーキのようなふわっとした軽いしあがりになってほしい焼菓子などには向いていません。

 

*ひみつのひとさじ*のアトリエでは、パイ生地や、タルト生地、一部のクッキーに何割かくわえることで、よりサクッとした食感を出すようにしています。

☆☆店長からのワンポイントアドバイス☆☆ 少量であれば例えばパウンドケーキやケイクサレに加えると、もっちりした食感が生まれるので、ワンランク上のケーキ生地になりますよ~

 

 

小麦粉の種類② 中力粉

 

強力粉と薄力粉のちょうど中間の性質をもつ粉のことを中力粉と呼びます。たんぱく質の割合は9%前後です。中力粉は国内産も多く栽培されており、市場にも多く出回っています。

外国産のものも50%ほどあり、おもな輸入元はオーストラリアです。

 

中力粉は日本でいちばんなじみが深いかもしれないです。その代表が「うどん粉」と呼ばれる、うどんに適した小麦粉。 江戸時代からうどんは庶民の主食として、多くの人に親しまれていますよね。ほかにはドーナツやクラッカー、かりんとうといった少し硬めのお菓子にも多く使用されています。

 

自宅で「うどん作りを始めたい」という方に、スーパーによっては中力粉を置いていないところもありますので、そんなときには強力粉と薄力粉をブレンドすると良いでしょう。うまく調合すれば、中力粉として代用は十分可能です。但し、たんぱく質の量を9%前後にするために、強力粉と薄力粉を、たんぱく質が9%前後になるような比で混ぜなければならないので、上手に計算しましょう。

 

 

小麦粉の種類③ 薄力粉

 

小麦粉の中で、私たちの日常生活でもっとも身近な存在は薄力粉です。どんなものに使われているかちょっと考えてみてください。ホットケーキやドーナツ、シリアル、そうめんや生パスタ、てんぷらなどにも使われています。

日本での栽培は少なく、ほとんどは輸入に頼っています。おもな輸入元はアメリカです。強力粉の硬質小麦とは違い、軟質小麦の粉が薄力粉と呼ばれています。

 

薄力粉の柔らかい成分を左右しているのはタンパク質の含量です。その質含量は8.5%以下と定められているため、低ければ低いほど、よりさらっとした仕上がりになるといわれています。また粉のキメが細かいのも特徴です。

 

薄力粉の用途の中で最も多いのは洋菓子で、近年消費量が増えたパスタも、乾燥パスタは強力粉で作られていますが、生パスタは薄力粉で作られることが多く、パスタの種類によっても使用される小麦粉に違いがあります。

 

スーパーなどで売られている薄力粉は「バイオレット」や「スーパーバイオレット」「製菓用薄力粉」などですが、薄力粉は、メーカーによって味や香り、仕上がりが違うので、いろいろな銘柄の薄力粉を使って実験してみるのもみるのも面白いです。

ちなみに*ひみつのひとさじ*のアトリエでは、江別製粉の「有機きたほなみ」とアグリシステムズの「有機きたほなみ」を使用していますが、同じ「有機きたほなみ」でも全く違った焼菓子に仕上がるので、どんなふうに仕上げたいかによって粉を使い分けています。とても繊細な江別製粉の「有機きたほなみ」は、香りがよくふわっと軽い生地なのに、しっとりと仕上がる不思議な粉で、今まで使ってきた小麦粉の中でも、私(店長mariko)がいちばん好きなやっと出会えた小麦粉です。

 

小麦粉の種類④ 浮き粉

 

浮き粉は、タンパク質を分離したあとの残った成分を使った粉です。でんぷん質の塊である浮き粉の質感はまるで片栗粉のよう。この成分を生かし、料理には透明感を出すものに多く使われます。おもに伝統的な和菓子や明石焼き、半透明が食欲をそそる餃子の皮など。

 

浮き粉は、「じん粉」「本浮き粉」「貫雪粉」という名前でも販売されています。スーパーの粉ものコーナーには「じん粉」と唄っている商品を多く見かけますよね。じん粉も小麦粉の一種というのは驚きですね。

 

 

 

小麦粉の種類⑤ 全粒粉

 

全粒粉は小麦の表皮や胚芽、胚乳などすべてを製粉したものになります。強力粉や薄力粉と違い、すべてが含まれているため茶褐色になっているのが特徴です。栄養成分もバッチリで、食物繊維やミネラル、ビタミンを多くふくんでいます。そのため、健康食にも多く使われています。

 

スーパーのパンコーナーや洋菓子店でも「全粒粉」を全面に出している商品を見かけることはありませんか?

 

健康志向の方に人気の食材とあって、注目されている小麦粉なんです。全粒粉はすべてを粉にしているため不純物が多く含まれています。独特の食感や風味、茶褐色の特徴を生かし、シリアルやクッキーの材料に最適です。

 

タンパク質の性質はよくないので、仕上がりをよくするために製粉した小麦粉を混ぜてパンを作ることもあります。ライ麦と混ぜたパンも多く販売されているので、食べ比べをしてみるのも楽しいですよ。

 

栄養価が高い分、脂肪分も多いので長期保存には向いていません。自宅で料理に使用するときは、小分けにして保存するなど工夫が必要です。

 

 

小麦粉の種類⑥ グラハム粉

 

全粒粉の一種に加わることも多いグラハム粉。全粒粉と同じく、すべてを粉状にする製法です。しかし大きく違うのが、全粒粉よりも粗く挽かれていることです。小麦粉を製粉するさいにはふるいにかけられますが、グラハム粉はその工程がありません。

 

グラハム粉は、食生活の改革を提唱したシルベスター・グラハムにちなんで名づけられました。早くから栄養素を破棄していることに疑問を持っていたグラハムが、食生活の変化により人々の健康不良の改善に役立つと訴えていました。

 

グラハム粉は、スーパーで見かけることはほとんどありません。購入する場合は、高級食材店や健康食品店に行ってみてください。使用用途は全粒粉とまったく同じです。パンやクッキー作りに最適で、栄養にも気を遣ったメニューを提供できます。

 

 

小麦粉の種類⑦ セモリナ粉

 

セモリナ粉は、強力粉や薄力粉よりも粒子が粗い粉を指します。通常の小麦粉は最後の工程で布ふるいにかけ、ふるいにかかった粉を使用しているため、とても粒子が細かいです。その工程で布ふるに残ったものをセモリナ粉として提供されています。

 

ふるいで残ったセモリナ粉は、たんぱく質がもっとも多い強力粉よりもタンパク質含量が豊富。セモリナ粉はおもにデュラムコムギから作られます。そのためセモリナ粉は黄色っぽくなります。小麦の柔らかい品種から作られる場合、粉の色は白くなりますが、同じ工程を踏んでもこの場合はセモリナ粉とは呼ばれません。

 

セモリナ粉と呼ばれるようになったのは、小麦粉を多く使うイタリア語から来たといわれています。イタリア語の「Semola」の語源は、ラテン語の「Simila」で、Similaは穀粉という意味があります。

 

セモリナ粉のおもな使用用途は、乾燥パスタやシリアルです。洋菓子店ではプリンにも使われています。

 

 

小麦粉の種類や特性を知って料理に生かしてみよう

 

当たり前のように使っている小麦粉も、さまざまな種類があることがわかりましたよね。それぞれ独特の個性を持っている小麦粉を、うまく料理に役立てませんか?

 

今まで薄力粉を使っていたメニューも、小麦粉の種類を変えるだけでグッと料理もおいしくなります。