北海道の小麦粉は国内シェアトップ!ブランドの特徴とおすすめ用途

 

国内シェアトップ!北海道の小麦粉ブランドの特徴とおすすめ用途をご紹介

 

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北海道の有機小麦粉との出会いで、*ひみつのひとさじ*のお菓子は、安心安全でさらに美味しさも増しました。国産の小麦粉の生産量が日本一となった北海道の小麦粉ですが、12年前に低糖質のお菓子を作り始めた当初、日本各地の数種類の小麦粉を使ってお菓子のレシピを試作し続けた時期がありました。その中でも、香り豊かで味も香ばしく、いちばんおいしく感じたものが、北海道産の有機小麦粉(江別製粉のきたほなみ)でした。広大で大気や土壌が汚染されていない土地で育った有機きたほなみ小麦は、土壌の豊かなミネラルや栄養分を摂りながらすくすくと育っている・・・そんなことが頭に浮かんでくるようなお味なんですよ(笑)

 

日本は今でも国内消費のための小麦粉を欧米諸国からの輸入に頼っており、その割合はアメリカ(54.8%)、カナダ(28.9%)、オーストラリア(16.2%)で、合計すると、何と 99.9%になります。私も今足してみてビックリしました!

ということは、国産の小麦粉は、0.1%しかなく、更に国産の有機小麦粉となると、0.1%のうちの0.05%となるようです。 なるほど・・・昨年秋ごろから「有機きたほなみ」の入手が困難になり、あっちこっちの業者さんに電話をして、いつも苦労しながら確保しなければならなかった理由が見えてきました。今年になるとさらに別の要因、すなわち新型コロナウィルスの蔓延で、巣籠生活をよぎまくされた私たちは、外食ができなくなってしまったために、自宅でごはんやおやつを作る機会が急に増え始めました。そのうえ、健康への意識も高まり、国産の安心安全な材料や、オーガニックの材料を意識して買い求める人も増え始めました。*ひみつのひとさじ*のアトリエにとっては入手がますます困難になることはかなりの痛手ではありますが、国内の需要に伴い品種改良を重ねて、パンや麺類に適した中力粉と強力粉の生産量を増やしているそうですので、今後も北海道産小麦粉に注目していこうと思います。

 

それでは、小麦が北海道で栽培されるようになった背景と、生産量が日本一になった今に至るまでの苦難に満ちた物語をお楽しみください。 ひみつのひとさじ 店長 mariko

 

 

北海道小麦がブランドとして生産された歴史

 

小麦はもともと、関東より南の地域で栽培されていました。北海道が小麦の産地として栄えるようになったのは、1970年代後半のことでした。

 

第二次世界大戦後、国内では、小麦を栽培する動きが活発になり、日本全体の小麦の生産面積は、60~70万ヘクタールまで拡大しました。ところが、安い外国の小麦粉が大量に輸入されるようになり、価格の高い国産の小麦粉は売れなくなってしまったため、1973年には国内生産量は、約10分の1にまで激減してしまいました。その激減ぶりから、「国産小麦は安楽死」とまで言われるようになったそうです。

 

そんな中、北海道が小麦の生産に力を入れ始めます。その背景には、日本の食料自給率が年々低下していったため、日本政府が低下をおさえる農業政策を打ち出したという要因があったようです。北海道の気候は本州に比べ、降水量が少なく梅雨がありません。また冷涼という気候が、小麦の栽培に適していると思われたからでした。

 

小麦粉は、薄力粉、中力粉、強力粉のように、たんぱく質の含有量の違いで大きく3つに分類されます。その中でも北海道の気候には中力粉が向いていたため、1974年に、中力粉の品種「ホロシリコムギ」「タクネコムギ」が第一号の推奨品種に選ばれ栽培が始まったそうです。

 

その後、品種改良が重ねられ、現在では多くの品種が登場するまでになりました。

 

小麦の栽培は年2回で、秋と春に種をまく「秋まき小麦」と「春まき小麦」があります。それでは次に、それぞれの時期の違いから生まれる品質や、用途の違いについてお話ししましょう。

 

 

 

北海道のブランド小麦:秋まき小麦

 

秋に種をまく「秋まき小麦」には、現在「きたもえ」「きたほなみ」「キタノカオリ」「ゆめちから」といった銘柄の小麦が栽培されています。その中でも北海道ブランドとして人気を集めているのが「きたほなみ」と「ゆめちから」です。

 

「きたほなみ」はたんぱく値が低いことから、薄力粉に近い中力粉に分類されます。北海道産「秋まき小麦」の約8割を占め、年間数十万トンの生産量を誇ります。パンには向かず、お菓子に適しています。

 

「ゆめちから」は超強力粉として北海道でも日本でも初めてのたんぱく値が14%と高い小麦粉です。老舗のパン屋さんやケーキ屋さん、大手製パン会社や大手製菓会社では、まだまだたんぱく値の高い外国産の小麦粉を好んで使われることが多いのですが、外国産の小麦粉は、製粉された後に、輸入までの数か月間、品質が落ちないようにするために、「ポストハーベスト農薬」が添付されています。食の安心安全の意識が高まる中、外国産の「ポストハーベスト農薬」の身体への害を考えると、国産の安心安全な小麦粉の方を使いたいと思うのも無理はありません。

 

現在北海道産「ゆめちから」は、外国産の強力粉の品質に負けないほどの品質に改良されており、実際に北海道産「ゆめちから」でパンを焼いてみると、ふくらみがよく、劣化が遅く、長持ちがするとの声も聴かれます。ただ、少し硬く出来上がったり、香りがあまりしないなどのの特徴もあるので、シュトーレンやパネトーネなど生地に混ぜる材料が多いどっしりしたパンには最適の小麦粉です。

 

「キタノカオリ」は、1987年に、国産とハンガリー産の小麦を交配させてできた品種で、その後16年かけて品種の開発を重ね、2003年に品種登録が完了し、販売が始まりました。北海道の岩見沢地域を中心に芽室、旭川地域で生産されてきました。この「キタノカオリ」でパンを焼くと、ふんわりモチッと出来上がり、麦の味をしっかり感じられるほど香りが良く、噛めば噛むほど甘みが増すのが特徴で、個人ベーカリーのシェフや、パン好きさんたちの間では、無くてはならない確固たる地位を気づき上げたブランド小麦です。色がクリーム色なのが特徴です。しかし、2018年6月~7月にかけての長雨や日照不足による不作から、安定供給が難しくなり、「キタノカオリ100%」製品の販売は終了になりました。

 

収穫量は多くないものの、根強い人気があるのが「きたもえ」です。うどんこ病や小麦縞萎縮病といった病気に強く、同病が発生しているエリアでも収量や品質が低下しない病気に強い品種で、麺にしたときの色合いがきれいなのが特徴です。

 

 

北海道のブランド小麦:春まき小麦

 

 

春に蒔く「春まき小麦」は、「ハルユタカ」「春よ恋」「はるきらり」の3種類が代表的な品種です。国産の小麦はたんぱく値が高くない中力用の小麦の品種がほとんどだった中、北海道ではたんぱく値の高い強力粉を生産するための小麦の開発に力を注いできました。そして最初に開発されたのが「ハルユタカ」です。

しかし、1990年後半に北海道で数年に渡り長雨が続いたため、雨や病気に弱い「ハルユタカ」の不作が続きました。

 

そこで新たに開発された品種が「春よ恋」。北海道の気候が少しづつ変化していく中で、雨にも病気にも強い品種が生まれ、2000年に「春よ恋」が奨励品種となってからは、北海道の春まき小麦は「春よ恋」の生産がほとんどをし占めるようになりました。また同時に「ハルユタカ」は奨励品種から外れ、今でも年間3000トンほどの生産量はあるものの手に入れることは難しく「幻の小麦粉」と言われるようになりました。

その後「はるきらり」も開発されましたが、生産量が少なく市場にはでまわっていない品種のようです。

 

「ハルユタカ」「春よ恋」「はるきらり」は、たんぱく値が10.5~12%で強力粉に分類されます。タンパク質の含量が多く、グルテンが強い特徴を生かし、パンを焼いた時ふっくらもっちりとした生地に仕上がります。

 

現在の北海道産小麦粉の生産量の大半は「秋まき小麦」で、「春まき小麦」は生産量がとても少なく、「秋まき小麦」に比べ、高値で取引されています。

 

北海道のブランド小麦を使ったおすすめ用途

 

今年はコロナウィルスの蔓延のため、あなたも「おうちごはん」を楽しんでいる人のひとりではないでしょうか? 小麦粉は作るものによって使い分けると更にグレードアップした、美味しいご飯やお菓子ができることが分かりましたね。 小さなお子さんも一緒に小麦粉の特徴を教えてあげながら、ご飯やパンやお菓子が美味しくできたら、きっとあなたは尊敬されるはず・・・そのメニューが我が家の定番になれば、それも嬉しいですよね。北海道産のブランド小麦粉で気になったものがあれば、ぜひ検索してみてくださいね(ひみつのひとさじが仕入れているお薦めのお店のサイト:アルナチュリアー北海道のめぐみ です)。

 

うどん作りにおすすめなのは「きたほなみ」「きたもえ」です。うどんのゆであがったときの色も美しく、食感も高評価を得ています。

 

パン作りが趣味の方は「春よ恋」、シンプルな食パンやロールパンには「キタノカオリ」がおすすめです。中華麺や餃子の皮も「春よ恋」がオススメ。

 

パスタやマカロニを作るなら「ゆめちから」です。もちっとした食感が好きな人は、「ゆめちから」で作ってみてください。

 

 

北海道産ブランドの小麦粉で自家製料理はいかがですか?

 

北海道の小麦生産者さんたちは、気候や時代のニーズに合わせて今も改良を重ね、より美味しい小麦粉の開発に日々邁進していらっしゃいます。外国産に負けない、日本人の好みに合った北海道産小麦を使って、私たちも美味しいご飯やパン、お菓子に挑戦して豊かな食生活を次世代に伝えていきたい・・・そう思いませんか?