有機栽培の歴史から、未来につながるオーガニックを学ぼう!
2020年9月6日
有機栽培(オーガニック)の歴史
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有機栽培(有機農業)や「オーガニック」という表示を、最近専門店以外のスーパーなどでも目にするようになりましたね。それは、値段が高くても、安心で安全な食材を好んで買いたいと思っている人が増えているからだと思います。 また、他にも「無農薬栽培」「減農薬栽培」「自然農法」といったよく似た表記も見かけます。 こうした表記の違い、気になりますよね?
「オーガニック」と言えば、「オーガニック食品」「オーガニックコスメ(化粧品)」「オーガニックコットン」など商品の名前でも見かけるようになりました。ちなみに「オーガニック」と聞いた時、あなたはどのようなイメージを持ちますか? 「自然なものというイメージ?」「身体によさそうといったイメージ?」「農薬や化学肥料が使われていないもののイメージ?」などかもしれません。
*ひみつのひとさじ*では、限りなく「オーガニック」に近いお菓子を目指して日々勉強し、研究し、レシピの開発をしています。その中で分かったことや「オーガニック」をお勧めしたい理由などを是非ご紹介したいと思いました。
有機栽培とは、どんな農法なのでしょうか? その農法を知った上で、少しづつでいいので、自分や家族や友人のカラダを思い、有機栽培の野菜や果物をもっと手軽に買うことができるように、農業用地の土壌を変えていき、有機栽培(オーガニック)の野菜や果物の生産量を増やしていく方向に、より多くの人たちの意識が変わっていくことを私達は願っています。
それでは、これから有機栽培のはじまりや、栽培方法、「オーガニック」がもたらす未来への希望などをひとつひとつ紐解いていきましょう。 ひみつのひとさじ 店長 mariko
有機栽培(オーガニック)が広まったきっかけ
「有機農業」または、「オーガニック ファーミング」は、アジアの国々で古くからおこなわれていた自然農法でした。日本でも、堆肥を活用し、牛や馬を使って耕し、地力を増進させるいわゆる有機農法は、昔からおこなわれていました。現在の有機農業の定義は、「”地力”を増進するために、堆肥や有機物を積極的に活用する農業」なのですが、それは、昔から人々が穀物や野菜、果物を育てるときに、自然と行っていたことでした。しかし、近年になり、虫や病気の被害を少なくして生産効率を上げるために、農薬や、化学肥料の開発が始まり、虫食いのないきれいな野菜や果物が安価でスーパーなどに並ぶようになりました。また、欧米諸国では、戦争で化学兵器を使うことにより、土壌が汚染されてしまい、土壌をケアする技術が不十分であったため、土地は痩せてしまい、作物が捕れなくなってしまいました。そんな中、当時イギリスの殖民地であったインドに赴任し、インドの土壌の豊かさに驚き、”地力”にはじめて気づいたイギリス人の農業技師のアルバート・ハワード氏は、その豊かさの理由を探求します。そこで発見したのが堆肥を活用し地力を増進させる農業技術だったのです。ハワード氏は1940年、その農業技術を「有機物を用いた農業」という意味で「オーガニック ファーミング」と名付け「アグリカルチャー テスタメント(農業聖典)」という著書を発表します。この著書に出てくる”オーガニック”という言葉をきっかけに「オーガニック」が世の中に広まったと言われています。
さらにハワード氏は、第二次世界大戦で荒廃したイギリス農業の立て直しのために「オーガニック ファーミング」を推進する団体「英国土壌協会」を設立します。現在では、イギリスのオーガニック認証の7割はこの「英国土壌協会」の認証によるものです。
イギリスは、王族の中にも「オーガニック」を推奨する人が多い「オーガニック」大国です。「有機農業」即ち「オーガニックファーミング」は地球環境にも優しいことから、イギリスを筆頭に地球環境に対し問題視する国々の間で、今どんどん広がりを見せています。
有機栽培(オーガニック)ってどんな栽培方法?
日本で有機栽培(オーガニック ファーミング)を行うには、いくつもの条件を満たさなければならず、有機栽培に変えていきたくても簡単に変えられないのが現状です。「有機農業の推進に関する法律」(平成18年法律第112号)の第二条では、「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組み換え技術を利用しないことを基準として、農業生産に由来する環境への負担をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業」と定義されています。
「安心安全」な農産物を求める消費者が増える中、50年前の味の濃い栄養価の高い野菜の栽培を目指して、何人かの農業を営む方々が、堆肥を積極的に施肥して有機野菜の栽培に挑戦しました。そしてできた野菜の栄養価を調べてみると、野菜の栄養価が上がったものが一部あったものの、堆肥を積極的に施肥しただけでは野菜の栄養価は上がらなかったという予想外の結果になりました。この結果を受けて、一般財団法人日本有機農業普及協会は、野菜の栄養価の高さを競いあうコンテストを毎年開催することにしました。コンテストの結果、最優秀賞受賞者に選ばれた方たちの作る野菜に共通していたところは、50年前の野菜のおいしさと栄養価の高さを取り戻していたことでした。そして、彼らが共通して行っていたことは、土壌分析をしっかり行い、現状の土壌の栄養成分の過不足を把握し、土壌のミネラル成分で最適になるように施肥設計を行っていたこと、つまり土壌の栄養成分の管理が人為的にきちんとなされていたことでした。
栄養価の高い、美味しい、しかも安心安全な野菜を作る有機栽培には、土作りの専門的な知識が必要で、有機栽培で栄養価の高い、安心安全な野菜や果物を育てるには、まずその技術をマスターした「オーガニック・アグリカルチャー・エンジニア」を育てるところからスタートしなければならない、ということになります。すでに勉強している方たちは大勢いらっしゃると思いますので、近い将来が楽しみです!
有機栽培(オーガニック)は土づくりが大切!
有機栽培を行うには、土づくりがとても重要です。有機認証(オーガニック認証)を得るには、少なくとも3年間化学肥料や農薬が検出されない土壌で育った野菜や果物でなければならないという厳しい規定があるため、化学肥料や農薬を使って野菜や果物を栽培してきた農家さんが有機栽培に変更するためには、土を全て入れ替えて有機肥料で農薬を使わず、3年間作り続けることをしなければなりません。私も有機栽培を苦労して続けていらっしゃる農家の方とお話する機会がよくありますが、皆さんの苦労は私たちの想像をはるかに超えるものです。虫や病気、自然災害、組合との確執などなど・・・それでも良い土作りから日々コツコツと植物や果物を大切に手を掛けて育ててゆくことを続けていらっしゃるのは、それを食べる人たちへの愛情や、地球環境への愛情が強いからだと思います。
有機肥料は、土壌の微生物にとっての栄養分となり、良質の微生物をどんどん増やします。そして、その良質の微生物が植物や果物の養分として吸収されます。その微生物が良質で、栄養価が高い強いものであれば、それを養分として育つ野菜や果物は、強くて栄養価が高くて、味が濃いものになることは想像つきますよね?
有機栽培を行うことは、土の中の環境を良くし、野菜や果物だけでなく、その周りの木々や植物にも影響していきます。その連鎖が広まれば、地球の汚染された土壌は少しづつ改善され、化学肥料や農薬や化学兵器で汚染されてしまった土も、もう一度再生されて地球の環境の維持にもつながります。
有機栽培(オーガニック)がもたらす未来への希望
有機栽培は、このように土の質をよくすることで、良質の微生物が周りの土の環境もよくしてゆき、野菜や果物だけでなく周りの木々や草花にも良い影響を与えてゆきます。
有機栽培で育てられた野菜や果物を私たちが食べ、余ったものが家畜の餌や肥料となり、それを食べた家畜の糞などの有機物が再び野菜や果物の肥料になる。その連鎖の繰り返しが起こることで、私たちは再び昔の栄養価の高い安心安全な穀物や野菜や果物を食べて、健康なカラダを取り戻すことができると考えます。
農薬や化学物質の研究開発、工場での大量生産による食品の長期保存の技術で、私たちの食生活は大きく変わりました。しかし、添加物や農薬がカラダの中で蓄積されることによる新たな病気や食物アレルギーも出現しました。新たな病気やアレルギー体質を改善する方法はひとつ、農薬や化学物質を取らずに、有機栽培で育った穀物や野菜や果物を選んで食べることだと思います。私は、有機栽培がもたらす効果は計り知れなく、私たちが快適に暮らせるよう、地球環境を守るためにもたくさんの方々にその価値を知って、積極的に取り組む人が増えてくれることを願っています。
有機栽培の歴史は、現在の地球環境の問題を解決しようと考えたのがきっかけ!有機栽培で地球を守ろう
有機栽培の歴史は、化学薬品や化学兵器の開発、また、食品に農薬や添加物を加えることで、人々のカラダに異変が起こり、アレルギー反応や、ガンなどの現代病を患う人が増えてきたため、その原因を探っている中で、自然でないものが人体や地球にもたらす悪い影響が明らかになってきたことがきっかけで、自然でないものを取り込まず、自然のもの(オーガニックのもの)に戻すという考えから生まれました。今日本の農家さんたちの意識も少しづつ変わってきていて、積極的に有機栽培を取り入れる農家さんが増えています。私たちは、そんな農家さんから安く野菜や果物を買うのではなく、適正価格で買い、美味しく調理して残さずいただき、良い連鎖のサイクルを作ってみんなで地球環境を守ろうと意識を変えることができれば、大切な家族や友人をアレルギーや病気の苦しさから守ることができ、さらに地球環境まで守ることができるんです。それって素敵なことだと思いませんか?